電力会社が提出した安全審査の申請に不備が目立つと批判したというニュースがありました。このニュースからは、重大なことが読み取れます。
今までの審査は形式だけで、内容に関してはほとんどチェックされていなかったということが推測できます。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の記者会見で、原発の再稼働に向け電力4社が提出した安全審査の申請に不備が目立つ点について「以前に厳しく指摘したのに、電力会社は身に染みていないところがある」と苦言を呈した。
23日の審査会合では北海道電力が泊1、2号機の申請で、構造が異なる3号機のデータを用いていたため、審査が保留となった。田中氏は「他人の回答を使った代替受験みたいなもので、これでは審査しようがない」と批判。
関西電力の高浜3、4号機(福井県)の申請でも、新規制基準に沿っていない部分があり「規制委はそんな甘ちゃんじゃない」と強い口調でくぎを刺した。
「電力会社は身に染みてない」 規制委員長が苦言 - 47NEWS(よんななニュース)
電気事業法を確認したところ、原発を稼働するためには定期点検をしなければいけなくて、定期点検が終わったら「審査を受けなければならない。」と書いてます。原発を13ヶ月間運転したら定期点検なので、少なくとも1年に2基くらいのペースで定期点検しているはずです。
年に2回以上実施するということは、毎回同じようなことを繰り返してるわけです。
ということは、いままでの申請にも不備が多かったと推測できます。今回の事故が原因で新しい規制基準が増えたかもしれませんが、「泊1、2号機の申請で、構造が異なる3号機のデータを用いていた」みたいなことをやってても、審査にパスしていただろうというくらいは容易に想像できます。
電力会社の中では、きっと大騒ぎでしょう。
細かいところまでチェックされるようになったわけですから、細かいところまでミスや矛盾のない資料を作って申請しないといけません。
規制委が審査に数ヶ月かかると言っているんですから、それだけの資料を作るにはもっとコストがかかります。申請する以前に、審査にパスするだけの内容になっているか、電力会社が自ら審査以上のチェックをする必要があります。
きちんとした資料を作らないと審査してもらえない。きちんとした資料を元に審査を行う。電気事業法で決められていた当たり前のことが、やっと動き始めたということなんでしょう。